204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/09/24(水) 20:57:42.89 ID:ZT3OXQDt0
※※※
《八幡-Side》
「うっす」
森閑としたホーム、誰もいないかと思いきや一人残っていた。
マリカが椅子に座って目を瞑っていた。
「随分と今日は遅かったね」
やけに感情のこもった声に驚く。
「まあ色々とあってな」
今日あったことを簡潔にレポートのようにして提出する。何故仕事をしなければならないのか。
とはいえこのゲームの目的である現実からの離脱は一応だが果たせている。むしろ最近仕事ばっかりでそれしか楽しみがない。あとはまあアリスとの触れ合いとかか。
毎度ながら3分程度の適当なものを彼女に見せる。
目線が下がると同時にどんどんと表情が硬くなっていく。
「……サリアに会ったんだ」
あ、まずい。そういえばこいつサリアのこと目の仇にしてたんだった。ただでさえ機嫌が悪そうなのに火に油を注ぐまねをしてしまった。
しかし返ってきた反応は予想したものと違っていた。
「それで、彼女に会ってどうだったの?」
思っていたよりドライな反応だ。
どうにもただ彼女のことが嫌いというだけでというわけではなさそうだ。何かしら複雑な感情を彼女に抱いていると言うことなのか。
何で俺の周りにはこう面倒な人間ばかり集まるのか。ゲームにおいてさえも。
「え?いや、なんつーか何考えてるのかわからなくて怖かった」
無言でまだないのかと暗に要求されているようなので、1つ印象的だったことを話す。
「それと……なんだ、なんかお前に最初会ったときと似たような印象を受けたな」
今ではこいつは割と不安定な性格だということに気づけたが。
「ふーんそうなの」
クルリと椅子を回転させこちらに表情を見せないようにしている。震える肩があらわすのは喜びか怒りか。
30秒ほど経ってから、随分と落ち着いた表情の彼女は職場の上司よろしくさらりと言い捨てる。
「じゃあ明日もよろしく」
「あ、ああ」
マリカは俺に命令を下すと、すっと立ち上がりこちらをみることなく広間の奥へと突き進み彼女の部屋へと入る。
一人取り残された俺はポツリとつぶやく。
「……帰るか」
俺も自らのホームへと戻り、ALOの世界からログアウトした。
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