94: ◆2DegdJBwqI[saga]
2014/08/22(金) 14:46:42.87 ID:f9f35fI7o
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人払いされているかのごとく、不自然なまでに人影がない夜の街。
この世界の暁美ほむらが残した魔力の痕跡を、私はいま必死に追いかけていた。
少しずつ、着実にその距離は縮まりつつある。
私より先にほむらと接触した何人もの「私」が、己の身を惜しげなく犠牲にして、
まさに悪魔と呼ぶにふさわしい猛攻を受けつつも数の力で足止めしてくれているおかげだ。
悪魔は、鹿目まどかとの接触を試みたのち、それを急遽中止して逆に遠ざかり始めた。
己の力が近くにあることが、鹿目まどかの円環の理としての自覚を回復する決定的な刺激となってしまわぬように。
ごく普通の人間という枠に収まり、この世界の住人となって生きている鹿目まどか。
私じゃない、暁美ほむら、彼女が全身全霊を注ぎ、手中に収めようとしている人。
彼女が蓋をした、円環の理が背負うべき本当の記憶、本当の力。
飛ぶように路地を駆けながら私は考える。
本当の私。
私は、鹿目まどかという女の子のことを、容姿以外何も知らない。
彼女がどういう性格をしていて、そして、どんな日々をこの世界で送っていたのか。
きっとそれは幸せな日々だったのだろう。
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