過去ログ - 【咲-Saki-】京太郎「俺は一番になりたい」睦月「うむ。精進あるのみ」【安価】
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909: ◆uyhWeNAxHY[saga]
2014/08/01(金) 21:18:17.79 ID:8C/nivfHo

　天江さんが狙っていたのは海底撈月ではなく『河底撈魚』
　すなわち、誰かが捨てた最終牌でのロン和了りである
　最近は海底も河底も『ハイテイ』扱いされているが

　不可解だ、と言わんばかりに天江さんは
　狙いを定めていた――東横の方を見る

　一本場とはいえまだ東二局
　東横が完全に姿を消すにはまだ早いが……

桃子「これが、私のステルスっすよ」

　得意げに、しかしどこかいっぱいいっぱいに
　東横は微笑んで言う

　天江さんのこの重っ苦しい感じを掻い潜って
　逃げ切るって、何気に凄いことじゃないか？

衣「成程、話には聞いていたが……面妖なものだな」

衣「衣にはこうしてお前が見えているというのに」

　うん？

京太郎「み、見えてる？」

衣「うん。……何かおかしいことなのか？」

　おかしい……いやおかしくはないのだが
　東横の性質というか、影の薄さを考えれば
　見えている方がおかしいはずだが……？

桃子「わ、私が見えてるんすか！？」

　突然知らされた驚愕の事実に
　半分身を乗り出す様にして
　天江さんに喰ってかかる東横

　天江さんはその様子に若干引き攣りつつ

衣「衣にはお前がきょーたろーと」

衣「仲睦まじく並んでいた時からそこにいると気付いていたぞ？」

　と、仰った

　加治木先輩も俺も「どういうことだよ？」という顔のまま
　本人の方を見れば、雷に打たれたような
　衝撃のあまり、どうしたらいいかわからないという
　表情をした東横と視線がぶつかった

衣「お、お前たち……なんだ、どうしたんだ……」

衣「もしかして、衣が何か悪い事でもしたのか……？」

桃子「あっ、やっ、そういうことじゃないんすけど……」

　沈んだ声でそう問いかける天江さんに胸が痛んだが
　正直なところ、それどころじゃないような衝撃だったのだ

　東横が、誰かに見えている？

　でもよく考えたら
　照さんもナチュラルに話しかけていたような……

　もしかして、麻雀の強い人には
　そういう特殊なセンサー的なものが
　標準装備されていたりするのだろうか？

　しかし、俺以外にも東横がちゃんと認識できている、か……
　それは悪いことじゃないはず。喜ばしいことのはずなのに
　その事実を考えた途端に、どこか残念がっている自分自身が
　浅ましく、厭らしいものに感じられていた



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