102:ふもふも ◆Bn1tZJHOB6[saga]
2014/08/19(火) 05:47:20.74 ID:nF4trx14O
「あなたもあのディスクは見たよね」
英玲奈からの返事はなく、布の擦れる音だけが静かな更衣室に広がっては消えていく。
「私はいつの間にか自分自身を見失っていたの。等身大の自分を見せたかったはずなのに、気づいたら偽りの自分がそこにいた」
「何が言いたいの?」
苛立ちを滲ませた返事が響き、つばさは小さくガッツポーズを決める。わずかにでも興味を抱かせてしまえば、まだ可能性は大いにある。
「私は例え偶像<アイドル>になったとしても、ステージの上でだけは本当の自分でいたい。だから、思ったの……英玲奈さん、『あなたは何を目指しているの?』って」
布の擦れる音は止んでいた。
「あんじゅ……覚えているかな、あの紹介ディスクで一緒にステージに踊った子の事。あの子が言ってた。私たちはまだ生まれてもいない卵。だから、殻の色をどれだけ変えたって意味はない。大事なのは、どんな雛になりたいかだってね」
畳み掛けるようにつばさは言う。言い続ける。
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