過去ログ - にこ「あんた、ポジションどこなの?」虎太郎「バックダンサー」
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◆J56L221nBM
2014/07/22(火) 21:23:55.11 ID:6QgE8jXAo
―ガラッ
「いらしゃいませー!あっ…」
「コタロー君久しぶりだねー。おまんじゅう買いに来たの?」
練習の帰りがけに穂むらに寄った。
理由は下の適当な方の姉にここの饅頭を買ってこいと命令されたからだ。
「そっかー、にこちゃんもこの前いっぱい買ってくれたんだよ」
「だから今日は少しおまけしておくねっ、いいのいいのこれくらい」
そう言ってガラスケースに展示されている穂むら特製の饅頭を大量に紙袋の中に詰め込んでいく。
ここの経営状況がすごく気になったけど、余計な事は聞かないことにした。
「でもすごいねー、あのツバサさんから直々に練習見てもらってるんでしょ?」
「でも物凄くキツそう…うへぇ」
今まではそこまで過酷ではなかったが、明日からめでたく地獄の様な練習が追加されることを伝える。
俺の事は一番上の姉から聞かされているのか、驚きはせずに柔らかな表情で俺に微笑んでくれた。
「ふふっ、でもねコタロー君、私嬉しいんだ」
「私達のライブをみてアイドルになりたいって思ってくれてたんだってね…この前、にこちゃんから聞いたの」
「スクールアイドルとしての活動が、今でも誰かの心の中に残ってる…私達にとって、こんな幸せなことはないよ」
前髪で目を隠して俺はそっぽを向いた。
恥ずかしさで彼女の顔をまともに見ることができない。上の姉はそんな事まで話していたのか…。
「あっ、コタロー君!」
「最後に一つだけ、先輩として言わせて欲しいな」
紙袋を受け取って颯爽と店を出て行こうとする俺を、彼女が呼び止めた。
穂乃果「…ありがとう。私達の夢を見届けてくれて」
穂乃果「穂乃果も陰ながら応援してるねっ!ファイトだよっ!」
一度だけ頭を下げて、俺は穂むらの店の扉から出て行った。
本当に礼を言いたいのはこっちなんだけどな。
…ありがとう、俺に夢を与えてくれて。
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