過去ログ - 上条・士道「「とある緋弾のソードアート・ライブ」」キリト・キンジ「「その1」」
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946: ◆3LA52.EM5g[saga]
2015/09/28(月) 23:16:41.27 ID:lS3lay3D0

 武偵。それが意味する職業については黄泉川達もよく知っている。凶悪犯罪に対抗する為に武装を許された逮捕権などの警察官に準ずる活動が可能な国家資格。一都市の志願制の警察的組織である自分たちとは違い、世界中にてその活動を行ういわば「何でも屋」だ。世間には武偵を育成する為の学校とやらもあるらしく、この少年少女達はそこの生徒なのだろう。

アリア「あなた達もかなり消耗してるでしょう。悪いことは言わないわ。ここは私達に任せて」

 この子達はちゃんとした訓練を受け、数々の修羅場を乗り越えてきたのだろう。そういう目をしている。もしかしたら、自分達よりもよっぽど酷い状況にあっているのかもしれない。


黄泉川「そんなの関係ないじゃん」


 が、それでも黄泉川愛穂はそう言い放った。

 この子達は強いのだろう。だが、それでも、

黄泉川「武偵だろうがなんだろうが、お前たちは子供。私たち大人の役目は、子供を守ることだ。だから、ここは大人に任せるじゃん」

 子供に背負うべき無駄な責任を任せて、大人が闘わないわけにはいかない。

 それは黄泉川だけの気持ちではないはずだ。この場の警備員全員が思っていることだと、黄泉川はそう信じている。

 その言葉を聞いたアリアの顔が、一瞬惚けた。

黄泉川「ど、どうしたじゃん?変な顔して?」

アリア「あ……いや……そんなこと、言われたことなかったから、ちょっと驚いて」

 しどろもどろに受け答えするアリアを見て、何やら愛玩動物を愛でるような感覚を抱きつつ、黄泉川はその先を聞いた。

黄泉川「武偵校も学校には違いないよな?先生とかはいるのか?」

理子「『武偵は自立せよ』、だよ警備員さん。うちの先生は、体罰上等な人ばっかりだからねー」

黄泉川「武偵校では教師のストレス発散の矛先が生徒に発砲という形になるなんて話を聞いたこともあるけど、案外間違いでもなさそうじゃん……」

 武偵校の教師達に対して呆れのため息をつきながら、黄泉川は目の前の小さな少女を見据える。

黄泉川「子供が何かを守るために自分の意思で闘うのは百歩譲って良しとしても、子供に大人が背負うべき責任を丸投げしたり子供がいわれのない重荷を背負っているのを見て見ぬふりすることは、少なくとも私には無理じゃん。君たちが私達に加勢してくれるのは助かる。が、それに甘えて私達が逃げるなんてことは、絶対にありえない」

 なあ。と少し威圧気味に後ろに振り向く黄泉川。その有無を言わさぬ顔に少しだけ怖気付くも、大人達は真っ直ぐな目でそれにうなづいた。

「まぁ警備員に入った動機はともあれ……警備員として子供を置いて安全な場所、なんてことはできないわな」

「あーくそ。せっかくの非番だったのに、たまたま巻き込まれるなんてホントついてないっすよ」

黄泉川「それについては私も一緒。ごちゃごちや言うな。悲しくなるじゃん」

 悪態をつきながらも、誰もこの場から逃げようなんてしなかった。誰もが、ここに残り闘うことを選択していた。

黄泉川「そういうこと。大人を、舐めるなじゃん」

 不敵な笑みで、自分たち「子供」にそう言い切った黄泉川。それを見て、アリアはこう確信した。

 ……ああ、この街は大丈夫だ。自分たちが変な正義感を持たなくても、この街に彼女たちが一人でもいるなら、大丈夫だ。

アリア「──分かったわよ」

 太もものホルスターからいつもの白銀と漆黒の2丁のガバメントを取り出す。見れば他のメンバーも各々の獲物を握り、すでに戦闘態勢を取っていた。

 やることは簡単だ。あとは、それをやるだけである。

アリア「足引っ張ったら承知しないからね!」

黄泉川「はっ。言うじゃん」

 そして──

 一筋の閃光が、彼らの前をなぎ払った。

 轟音と共に何体かのイグアナもどきが吹き飛ばされる。

 眼を見張るアリアに対し、黄泉川はその閃光の主を知っている。そして、その主をすぐに視界に収めた。

 何回か騒動の中であったことがある、学園都市なら知らないものはいないであろう、少女。

美琴「いい雰囲気の中悪いけど、私たちも混ぜてくれない?」



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