21: ◆g2XWKdhKyM[saga]
2014/07/23(水) 23:02:15.12 ID:ZXrvAdcT0
空に上がる花火をぼうっと見て目を伏せ、何故か溢れそうになる涙をこらえていると、少女は僕の手をそっと握った。
「今までずっと、です」
懐かしい、深く赤い目が僕を見つめた。そして、少女は僕のポケットから長門のケッコン指輪を奪い取る。
「わあ、ぴったり。よかった」
くるくると嬉しそうに回る彼女。
「提督とならば、夏も楽しいものだったよ」
ぴたりと止まって振り返り、長い髪がふわりと風に舞う。
「私もずっと、愛していたよ」
寂しそうに笑った顔が、長門によく似ていた。
「それだけ言いにきたんだ。じゃあな、達者で」
そう言うと、海の方へとすばやく駆けていってしまった。
僕はそこに立ちつくし、いつまでも、彼女のいない7月29日の夜空の光を見上げていた。
そういえば、彼女に手を握られた時、僕も彼女も、小指が立っていた。
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