過去ログ - 高木「人生に乾杯を!」
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13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:30:30.46 ID:9uLTT2Jd0
「あ、いや――」

 馬鹿か僕は、何で声をかけたんだ。
 この子にダンスをやらせる気か? 絶対無理だ、賭けてもいい。

 そもそも、こんなおとなしそうな子は芸能界に向いていない。
 今ならまだ間に合う。適当に謝るフリをして通り過ぎるんだ。


「ぼ、僕、あの――アイドルの、事務所をしているんです」

「それで、今、良い子がいないか、探している、んだけど――えと――」


 思考が定まらない。
 呂律が回らない。
 さっき平手を喰らったせいだ。
 あぁ、何てこった。左頬が腫れているんだった。
 恥ずかしい面を下げて女性に声をかけるとは、何をしているんだ。

 さっきまでヒリヒリしていた頬が、いよいよ熱くなった。
 頬だけじゃない。まるで顔全体に火がついたようだ。
 一体どうしたいんだ、僕は。

 もう帰ろう。あまりにも惨めだ。


「あ、あの――」

 俯きながら、その場を去ろうと思った時、今度は彼女の方が声をかけてきた。


「今日は、すごく冷えますけれど――マフラー、しなくて平気なんですか?」



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