過去ログ - 高木「人生に乾杯を!」
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21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 14:49:14.35 ID:9uLTT2Jd0
 応接室のソファーに戻り、彼女に話を切り出す。

「音無さん――アイドルに、なってみたいと思いませんか?」

 えっ――彼女の口から小さな声が漏れ、しばらく硬直した。
 しかし、すぐにそれはより大きな驚きの声となり、小さな部屋を埋め尽くす。

「な、なっ、そんな、無理ですっ!
 私みたいな田舎臭い女が、テレビでかわいくフリフリって、そんな事とても――!」
 失礼ではあるが、彼女が真っ赤な顔で必死に遠慮する様は、見ていて少し愉快だった。

「それに、私、高校卒業したら、4月から短大に入る予定なんです!
 あっ、今高校三年で――だから、あまりそういう事はできないかなーって」


「大丈夫大丈夫、高校や大学行きながらアイドルやってる子だっているんだ。
 皆、無理のない範囲でレッスンや仕事をして、楽しんでやってるよ」

 僕の横に座っていた高木が、音無さんに明るい口調でフォローする。
 その言葉を聞いた音無さんの目が、少し揺らいだのを僕は見逃さなかった。

「先ほど人数をお教えしたとおり、実は今、事務所の存亡の危機なんです。
 今の僕達を救ってくれる新しい人材を、僕達はずっと探していました」
 音無さんが、僕の顔を見る。

「高木が言ったとおり、手が空いた時だけで構いません。
 どうか、僕達を哀れと思うなら、力を貸してくれないでしょうか」

 僕の見立てでは、音無さんは人一倍の気ぃ遣いで、ノーと言えない日本人だ。
 アイドルになりたいと思わせるのではなく、こうして困った振りを強調すれば――。


 相当悩んではいたが、ようやく彼女は僕達と活動することに同意した。
「ご、ご面倒をお掛けするかと思いますが――」



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