31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:16:06.07 ID:9uLTT2Jd0
「おーっす、どうだ終わったか?」
次の言葉が見つからなくなった僕達の間に、高木が割り込んでくる。
コイツは、良い意味でも悪い意味でも、つくづく空気が読めない男だ。
「何だよもう、こんなの時間かけなくていいよ、オッケーオッケー、終わり! 契約完了!」
「あのな、契約の話なんだからお互い慎重に――」
「後でお前が確認して、不備があったら電話して出し直してもらえば良いじゃねぇか」
顔をしかめる僕を尻目に、高木は音無さんの方に向き直った。
「ほら、おっちゃん、早くレッスン行こうぜレッスン! 運動着持ってきたでしょ?」
「お、おっちゃん――?」
自分のことを言っているのだろうか――突然の呼び名に、彼女は顔を赤らめて困惑する。
「そうそう、音無さんって呼び辛いからさ。おっちゃん」
「高木、お前レディーに向かってなんて失礼な――」
「いいじゃねぇか、変に肩肘張らなくて。
あっ、俺らのことは遠慮なく、タカちゃんとクロちゃんとか、好きに呼んでいいからね」
そう言った後で、ん?――と高木は首を傾げた。
「あれ、そう言えばお前の下の名前って“たかお”だったっけ。
タカちゃんじゃ、お前もタカちゃんになっちゃうな。じゃあやっぱ俺はジュンちゃんか」
「黙れ、いい加減にしろ。社長として、職場の風紀を乱す行為は――」
「あ、あの――」
音無さんの控えめな呼び掛けに、僕達は口論を止めて彼女に顔を向けた。
「で、できれば――アクセントは語尾じゃなくて、“お”に付けてもらえないでしょうか?
おっちゃん↑、って語尾が上がると、本当に、おじさんみたいに聞こえちゃうから――。
ご、ごめんなさい」
ペコリと頭を下げる彼女を見て、高木は品無くゲラゲラと笑った。
僕はちゃんと“音無さん”と呼ぶことにしよう。
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