44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:51:56.66 ID:9uLTT2Jd0
帰り道、駅まで音無さんを見送るまでの間、僕は音無さんに今日の感想を聞いた。
「うーん――いまいち、まだ実感がありません。
ただ歌っただけですから、本当に私がレコードを出したり、テレビに出るのかなって」
音無さんは、俯きながら、呟くように答えた。
「音無さんは知らなかったかと思いますが、今日いた人達は、とても凄い方々なんですよ。
きっと、音無さんだって聴いたことのある曲がいくつもあると思います」
そう言って、僕は両氏が手がけた代表的な曲をいくつか紹介した。
すると、彼女はかなり驚いた後、やはりいつもの、非常に恐縮した姿勢になった。
「わ、私、そんな凄い方々になんて失礼なことを――の、海苔をあげるだなんて――」
「いや――アレはアレで、結構ウケてたから、問題無いですよきっと」
音無さんは、ふとした事ですぐにヘコんでしまうのが悪いクセだ。
きっとこうなるからこそ、僕はあえて音無さんに両氏の素性を教えなかった。
萎縮した状態で本番に臨めば、おそらく彼女は本来の実力を発揮できない。
いかにストレスフリーな環境を整え、遠慮なく歌わせるか――。
それこそが、音無さんをプロデュースしていく上での命題になるだろう。
ようやく落ち着きを取り戻し、今度は音無さんが僕に聞いてきた。
「黒井さんは――どう思われましたか? 私の歌」
「えっ――」
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