4: ◆R3w6VC0mCvpW[saga]
2014/07/28(月) 20:16:26.13 ID:/A4b8bPJ0
一年目【一人ぼっちのアイドルと孤高の姫 〜始まりの歌〜】
一人で部室に戻り、入り口から近い椅子に崩れるように腰を置いた。
にこ「……そっか、にこが悪者なんだ」
部員の募集をかけようと思ってた。絶対にアイドルになれる子もいたし、男性人気の出そうな子もいた。
でも、それをすることが出来なくなった。
先ほど廊下で聞いてしまった言葉を思い出す。
『部長だから部にあるものはもう全部私のだって言い張ってさ』
『マジ最低の泥棒じゃん』
『貧乏って人の心がないんだろうね。あれが目的だったんじゃないかって思うわ』
『先生に言ったら? 犯罪だし』
『あいつに関わるの嫌だし。もう要らないからいいや』
『矢澤マジ最悪』
自分で要らないって言った筈だったのに、事実は歪められていた。
先生の耳に入るかどうかは別として、そういう噂が生徒の間で広まるのは間違いない筈。
今誰かを誘えば不快な思いをさせて、またアイドルを嫌いにさせてしまうかもしれない。
それだけは絶対に嫌だ。
にこ「……っ、泣くんじゃないわよ、矢澤にこ!」
込み上がる涙を指で拭う。零れてないから泣いてない。
このまま不貞腐れてたらそれこそ思う壺よ!
一人でこなせる練習メニュー作り直しましょう。
にこ「やだ……。いくら型遅れのPCとはいえ、画面が見難いじゃない。どうして、こんなに歪んで見えるのよ」
ハンカチを取り出して画面を拭いた。
それでも歪んで見える画面は直らない。
強がりをやめて、ハンカチの反対側の面を両目に押しあてた。
ハンカチが涙を吸い込んで重くなる。
今よりもずっと強くなりたい。
こんな些細なことで涙を流すようじゃ、あの人のようにはなれない。
絶対にアイドルになるんだから……。
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