10:ID:qUgCtGJR0[saga]
2014/07/29(火) 16:06:47.27 ID:qUgCtGJR0
重い足取りで家に帰ったのは、日も暮れて夜になった頃。コンビニで立ち読みしたが、ほとんど上の空で過ごしたせいだ。
鍵を開けて家に入ってから気付いたが、母さんがいる様子はない。携帯を見ても、遅くなる連絡はなかった。仕事で忙しくても、そういう連絡は欠かすような人じゃないのに。放課後のこともあって、嫌なことばかり頭をよぎって仕方ないが、部屋に戻る。
明かりも点けず、そのままベッドに横になって一息つく。今日は妙なことばかり起きる日だ。落ち着かないと、やってられない。
男「(それに、これからあいつの家に行かないとな)」
どんなことがあっても驚かないよう心構えを決めながら、立ち上がろうとすると何かを踏んだ。確認するために明かりを点けると、そこには鞄が置いてあった。
男「あれ、そういや俺、鞄忘れて帰ってきた…、よな」
手に取ろうとしたところで女に話しかけられて、そのまま出てきた。じゃあなんで鞄なんかあるんだ。心臓が静かに脈打ち始める。まるでホラー主人公にでもなった気分だ。
理解できないことやら不安なことやらが、いくらなんでもたて続きに起こりすぎてる。
男「と、とりあえず着替えて行くか」
動揺が隠せないままに、制服から私服に着替える。恐怖心ともつかない、異様な不安感を抱えたまま、外に出て向かいにある女の家を見る。明かりは点いていて、もう帰ってきているらしい。
「大丈夫、大丈夫だ。話を聞くだけだぞ。俺」
言い聞かせるように呟いた後、香の家の玄関にあるチャイムを鳴らした。
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