過去ログ - 阿良々木暦「まゆミミック」
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19: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/07/29(火) 20:38:24.36 ID:YJpQUpwa0


005


佐久間の背後に蠢く、木の枝と見紛う程に細い影が現れた。
長いこと怪異には関わってきたが初めて見る。
あれが虚節だ。
宿主である佐久間の動揺を悟って現れたのだろう。

「手間を掛けさせやがって」

「きゃ……!」

佐久間の頭を上から押さえつけ、髪を手で除けうなじの部分を露出させる。
と、糸のようなものが虚節と繋がっていた。
それを摘まんで引っ張り虚節を抜く。

その際に、『ついうっかり』手が滑って虚節の身体を折ってしまった。
おいおい、身体が細過ぎるんだよお前。
これじゃあ報酬がご破算じゃないか。

「うぅ……」

呻き声と共に佐久間が崩れ落ちる。
虚節を抜かれたショックと今までの副作用の蓄積が、身体的にも精神的にも一気に襲ったのだろう。
余談ではあるが佐久間の身体も七節かと思う位に細かった。
ちゃんと飯食ってるのかよ。

「安心しろ。今回の事はお前と俺以外、あったことすら覚えていない。阿良々木も『何かあった』くらいしか理解してねえよ」

虚節を持ち帰って解析でもすれば判明するだろうが、偶然、虚節は折れて絶命してしまったしな。

「俺が喋らなければ、誰にも伝わらず世はことも無し、だ。だが心配だなあ、俺の口はホストよりも軽いんだ」

「……口止め料を払え、と仰るのですか?」

「そうだな……今を輝くアイドルならば幾らでも金になる。どうしたものかな」

と、俺の提案も待たずに部屋の扉が開く。
相も変わらずタイミングの抜群な疎ましい奴だ。
まあ、呼んだのは俺なのだが。

「佐久間!!」

「プロデューサーさん……」

阿良々木が俺と佐久間を見比べ、両膝をついていた佐久間に走り寄る。

まあ、見るからに怪しい俺と現役アイドルがホテルの一室で面と向き合っていたのだ。
危惧も当たり前だ。

「大丈夫か佐久間、あいつに何かされたのか!?」

「いえ……あの人は、まゆを助けてくれたんです」

「助けて……?」

「プロデューサーさん……それよりも、まゆ、プロデューサーさんに聞きたいことがあるんです」

佐久間は阿良々木に向かい合う。



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