過去ログ - 阿良々木暦「まゆミミック」
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21: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/07/29(火) 20:44:59.19 ID:YJpQUpwa0


006


後日談というか、今回の落ちだ。

口止め料として佐久間に要求したのは、かつて俺がやってみたかった事の一つだ。

「あ、あの……」

「どうした、食わんのか。若者が遠慮なんかしたところで鬱陶しいだけだぞ。俺が払う訳でもないしな」

払うのは佐久間本人だから遠慮すべきは俺の方なのだろうが、そんな事は知ったことではない。
俺のやってみたかった事とは、メニューに値段の表示されていない高級と呼ばれる焼肉屋で、会計を一切気兼ねせずに腹一杯食うことだ。

俺は焼肉が好きだ。
と言うか肉が好きで焼肉屋にも割と来る方なのだが、安い焼肉屋ならばともかく、このような高級店では値段が気になって思う存分に食えないことが多い。
佐久間にお前の知っている一番高い焼肉屋で奢れ、という条件で黙ってやることにした。
流石は芸能人と言うべきか、値段は表示されていないから値段は知らんがいい肉を使っている。

煙の立つ肉の群れの前で、手を止めることなく肉を食い続ける。
肉はいい。
たかが肉、されど肉だが、高級焼肉屋で肉を食っている、というだけで飛行機のファーストクラスに乗っているような優越感を味わえると共に腹も満たせる。

「追加だ。値段の高い肉を上から五種類、五人前ずつ」

肉が途切れないよう手元に余裕を残した状態で追加注文をする。
一度食う手を止めると満腹感に襲われ食える量が減るのは何としても回避すべき状況だ。
焼肉には米が合うのも無論承知の上だが、このような状況下で炭水化物で腹を膨らませるなど下の下のやることだ。
キムチもスープも冷麺も要らん。
今はとにかく、飽きるか腹が膨れるまで肉を食い続けるのみだ。

「あの、貝木さん」

「なんだ。俺の肉はやらんぞ。食いたきゃ頼め」

「いえ、お肉はいいんですけど……」

焼肉屋に来て肉はいい、とは何事だ。何を考えているんだこの女。



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