過去ログ - 阿良々木暦「まゆミミック」
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5: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/07/29(火) 19:50:51.29 ID:YJpQUpwa0

と、ここまでの話では詐欺師はまるで誰にでも出来る上に儲かるように聞こえるが、述懐した通り詐欺師も楽ではない。
まず詐欺は何処まで行ったところで犯罪だ。
いつだって両手が後ろに回る覚悟を決めておかなければならない。
付け加え、常に新しい騙し方を考える頭も必要だ。]
一度使った詐欺は必ず誰かが模倣する可能性があるし、足が付く危険性も高まる。
それに俺には縁のない感情ではあるが善悪の呵責という精神的な負担もあるだろう。
最も、こんなもの持っている時点で詐欺師としては失格だとは思うが。

ともかく結論として、俺は詐欺師になりたくてなった訳ではないのだ。
こんな真っ当から最も程遠いような肩書は頼まれてもいらん。
詐欺師、なんて響きに比べたら放浪の怪異専門家や暴力陰陽師の方がまだまともに聞こえるのも気に食わん。
俺は詐欺師になったのではなく、詐欺師という生き方しか出来んのだ。

俺は嘘で世界を語る。
他人を語る。
自分を語る。
その上で世界を騙り、他人を騙り、自分さえも騙る。
ありのままの事実を騙ることは出来ても真実を語ることは出来ん。
嘘さえ嘘で覆う。
嘘の嘘は真実、とは考えるな。
真実と嘘は表裏一体ではない。
嘘の嘘は別の嘘だ。
真実など何処にもない。
この物語を読む上で何が嘘と断定し何を信じるべきなのか。
そんなものは誰も教えてくれんし、自分で決めるものだ。
極論にしてしまえば、そんなものはどちらでもいい。

嘘を嘘と見抜けない人間が損をするのではない。
嘘を勝手に真実へと変換してしまう人間が愚かなのだ。
その結果、被害を被ったからと言って嘘をついた人間に文句を言うのは筋違いもいいところだ。
例え今まで信じて生きてきた人生全てが偽りだったとしても、自分が納得出来るのならそれでいいんじゃないのか。
嘘を真実として信じて来たのならば、それが真実なのだろう?

他人にどうこう言われて曲げる程度の志ならば最初から無い方がいい。
最も、俺は金以外何も信じていないが、な。

これから俺が語るのは嘘で嘘を固め嘘で着色した上に嘘の上塗りをした、世にも珍しい女の話だ。
嘘を生業の道具としている俺にとっては多少なりとも親近感の湧く女だが、それで俺が引くくらいの嘘の物語だ。

勿論これも嘘だが。

だが、まあ。
嘘をついちゃあ、いけないよな。



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