6: ◆aC0nKsFZuuYT[saga]
2014/07/29(火) 19:58:34.65 ID:fTmjfMZhO
「私だけだわ。いまだに現実を見ていない。みんな、しっかり現実を見ようとしているのに…。」
「ねぇ、伊織。あなたがプロデューサー殿とどういう関係だったかは、この事務所のみんなが知っているわ。だからみんな、あなたがどれだけ傷ついているかわかっているつもりよ。でも、過去に縛られたままで、楽しかった思い出までも無くしてしまうのはダメだと思うわ。」
「あんたと私。さっきと言っていることが逆ね。」
「…ええ。私はやっぱり、あなたに前を向いて生きてほしいもの。…それが、辛いことであろうとも。」
「ありがと律子。私は大丈夫よ。もう、心配いらないわ。」
そう言って、伊織は口元を緩ませた。
「またそうやって…!伊織、あなた半年前からずっと笑ってない!ただ逃げてるだけじゃない…!あなたは、ただ逃げているだけよ!」
「…そろそろ春香の収録が終わる頃ね。行ってくるわ。」
「ちょっ…、待ちなさい伊織――」
伊織は、聞こえてなかったかのように、静かに扉を閉め、立ち去った。
「…伊織。」
伊織が去り、少し経った頃。事務所に一本の電話が入った。呆然と立っていた律子は、ハッとして電話をとった。
「はい、765プロです。」
「………えっ…!?」
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