7: ◆aC0nKsFZuuYT[saga]
2014/07/29(火) 20:00:47.81 ID:fTmjfMZhO
車を運転しながら、伊織は考えていた。逃げていると言われ、何も言い返せなかった。自覚はあった。みんなが、彼の思いを受け取り、アイドルを続けていた。美希だって辛かったであろう。いや、今も苦しんでいるかもしれない。それでもアイドルを続けていた。彼の願いを実現させるために。それなのに、みんなより先にトップアイドルになった自分はアイドルを引退した。彼がいない苦しみに耐えきれず、逃げていた。笑うことまで…忘れていた。
「…わかっているわよ…そんなこと。」
自分に言い聞かせるように言った。その目は泳いでいた。逃げていただけの自分を一番変えたいのは、他ならない自分だからだ。
「…着信?」
さすがに車に乗りながら電話を行うわけにはいかないので、路肩にとめて、ケータイを手にとる。律子からだった。
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