過去ログ - ハルトマン「渚にて」
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43: ◆os0EtCPvIM[saga]
2014/08/19(火) 22:36:19.94 ID:4LyFGn8UO
私は天国や神様を信じていないけど、もし地獄があるとしても、きっとここよりはマシなところだろう。
目に映る光景のなかに、私が見知ったものは一つとしてなかった。

じゃり、と背後で音がした。びくっと体をすくませて振り替えると、そこにいたのは一人の兵士。
彼も指先から『布』を垂れ下げていて、全身は火傷のせいか赤く染まっている。

「あ…… あ……」
兵士は喉の奥から掠れた声を絞りだし、ゆっくりとした動作で私の肩に手を掛けようとした。
彼の手が私の目の前に迫った瞬間――私はそこかしこで見られる『布』の正体を知った。



それは、『皮膚』。
酷い火傷で腕や首から皮膚がべろりと剥がされ、それが爪の根本で止まっている。
彼らはその皮膚を引きずらないよう腕を前に突きだしていたんだ。
体が赤く見えたのは、火傷ではなく皮膚が捲れて筋肉が露出していたせいだ。



理解した瞬間、恐怖心が全身を貫いた。


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