5:1[sage]
2014/08/02(土) 01:51:14.15 ID:n0O0dDR9o
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埼玉県、大宮。
「みんな〜、おつかれさま〜♪」
「「おつかれさまー!」」
ふぅ〜、二年目になったけど、まだまだ慣れないですねぇ。
私は、凝った首筋を凝りほぐしながら、楽屋へと戻って行った。
ガチャッ。
早く着替えて、次の順位戦の相手を研究しなくては―――!
「キャアアアアアッ!」
ムニッムニッ。
「う〜ん、中々の成長だね、これならお姉さんを越えるのももうすぐだぞ☆」
こ、この声は!
……いや、こんな事をする人なんてたった一人しか居ません!
「は、はやりさん、止めて下さい!」
「もー、そんな風に怖い顔で怒ったりするのは、牌のお姉さん失格だぞ☆」
そう、こんな事をするのはたった一人。
私の先代。初代牌のお姉さんこと、瑞原はやり先輩だ。
「ほら〜、スマイルスマイル♪」
そう、私が今二代目牌のお姉さんをしているのも、父との約束を破り大学に進学せずに高校を卒業してすぐにプロへと進んだのも、全てはこの人との出会いからだった。
「そうそう、そういえば〜」
―――!?
特別低いわけでもないのに、この人の地の声を聞くと何時もゾクリとする。
そう、この人が地の声を出すのは、決まって何かを私に課す時だからかもしれない。
「公式順位戦、次のオリンピックの選考素材になる事に、正式に決定したちゃったぞ☆」
この人は……。
まだB級の真ん中付近をウロウロしている、やっと新人を抜け出したばかりの私に。
「うふふっ、オリンピックなんて気にしない人も居るだろうけど、多くの選手は血眼になって争うだろうね……うふふっ、本当に楽しみだね和ちゃん☆」
本気で取りに行けと、血眼になって争う上位選手たちの渦に飛び込めと言っているのだろう。
そうそれは、A級上位に居る瑞原はやり、彼女自身とも争えと言っているのだ。
「本当に楽しみ……」
あれ?
「これで、小鍛治さんが戻って来てくれれば言う事はないのにな……」
彼女は、今まで聞いた事の無い声色で、寂しそうに言った……。
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