過去ログ - 【俺ガイル】 八幡「例えば、あり得たかもしれないそんな世界」
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17: ◆SnKC1m7x8.
2014/08/02(土) 17:12:53.52 ID:wtQIWKT/0
俺がなけなしのコミュニケーションスキルをフル稼働して悩んでいると、相手の方から話を続けてくれた。

「えぇっと、昨日制服を着て学校に向かってたってことは、あたしと同じ一年生……ですか?」

「あぁ。てことはそっちも一年生か?」

「あ、うん。昨日は……犬を散歩した後家に帰って、着替えてから入学式に向かう予定だったんだけど……」

「あー、その、なんだ。辛いだろうにわざわざ礼を言いに来てくれてありがとな。無理に昨日の話はしなくっても……」

「あ、また心配かけちゃって、ごめんね。ほんと……、色々と、ごめん……」

彼女の顔色と声のトーンがガラッと変わる。
先程まではわりと普通の雰囲気であったが、当然ながら空元気だったようだ。
それもそうか。
昨日の今日だ、まだ気持ちの整理をつける時間もないだろう。

「いや、気にすんな」

「ありがと……。あと昨日のこと、できれば他の子達には内緒にしててくれると嬉しいなぁ〜、なんて。まだ学校始まったばっかりなのに、クラスに暗い話題とかあったら嫌でしょ?」

「昨日うちのクラスの欠席者は0、遅刻も俺だけ。だからクラスは別々のはずだ。それに、俺にはそんな世間話をするような相手はまだ居ないから、大いに安心してもらって構わないぞ!」

「あはは……、そんなこと自信満々に言われても……。あたしも昨日休んじゃったわけだし人のことは言えないけど、こういうのって出遅れちゃうと大変だよ? グループとかあっという間に出来上がっちゃうし」

おい、誰のせいで出遅れたと思ってんだ。
……あ、こいつのせいじゃなくて、あの黒塗り高級車のせいか。

これ以上、会話を続けない方がいいだろう。
俺と一緒に居たら相手の方も、嫌でも昨日のことを考えてしまうはずだ。

「んじゃ、俺はそろそろ行くわ」

「うん、ありがとね!」

そう言って彼女は、少し笑ってみせた。
……強いやつだな。
その笑顔は当然無理をしているものであったが、何の事情も知らないクラスの連中を騙すことくらいはできるはずだ。
きっと俺と違って、すぐに沢山の友達を作れるだろう。



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