過去ログ - とある幻想の一撃男(とある×ワンパンマン)
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/03(日) 05:22:24.33 ID:g4FKKuxko

「……私は……負けたのですね」

 流石に勝ったろうと思っていた上条すらも、ムクリと起き上がった彼女に対して驚きを露にする。
 しかし、彼女から戦意は感じられない。それどころか何処か吹っ切れた面持ちを浮かべていた。

「……私は、迷っていました。このままで良いのか、と。ですが、こうするしかないと思い込むことで自分自身すらも誤魔化していたのかもしれません。上条当麻、貴方には感謝しています。貴方の拳があったからこそ、私は目を覚ます事が出来ました……私は向き合う事にします。自分の罪とも、インデックスとも……」
「そうか、それは良かったな」

 そして、起き上がるなり言い放った言葉がインデックスへの謝罪だった。
 続いて、インデックスを取り巻く十万三千冊の魔道書と記憶について語り、涙して謝ったのだ。

 インデックスと言うか弱い存在をよってたかって追いかけていたのには、それなりの理由があったというわけである。
 一年周期で記憶を消さねば、インデックスの命が危ない。完全記憶と言う能力が、彼女の脳を圧迫しているのだそうだ。事実として、一年前も彼女は謎の高熱にうなされ、命の危機に晒されたのだ。
 説明を一通り聞いたところで、インデックスは唸るように考え込みながら、借りてきた猫のように小さくなっている神裂と向き合った。

「つまり、かおりは私の友達だったって事でいいの?」
「あ、ああ……インデックスが私の事を昔のように呼んでくれる日が来るとは……許してください、インデックス。弱くて情けなくて、貴方と向き合うのが怖くなって逃げ出した私を……!!」
「かおりも辛かったんだね、もう大丈夫。怖くない、怖くないから……」
「インデックス……うう、ああぁああぁぁ……!!」
 ひざまずいて懺悔する神裂を、インデックスは聖女の如き微笑みで抱きしめた。そして、神裂の中で押し留めていた何かは呆気なく決壊する。

 ここに来るまでに、一体何度の襲撃をかけたのか、最早分からなかった。
 心を殺してインデックスを追いかけた。記憶を消すたびに、自身の中にある何かを一緒に殺していた。
 失ったものを取り戻す事は出来ないが、失う恐怖をこれ以上インデックスに背負わせたくない。それが彼女の本心であった。

「……私は、これからインデックスとずっと共にいたいと思います。そして、インデックスの記憶を消すその瞬間まで、たくさんの思い出を作って、最後の時まで健やかに、幸せに過ごしてもらう事をここに誓います!!」
「ちょっと待って、何でそうなるんだよ」
「そうなるとは……?」

 上条は思わず突っ込みを入れた。何故根本的な原因を模索しないのか。
 病気なら医者に見せれば良い。この科学の街で、理解出来ない現象を目の当たりにしてそれの追求をしないのは怠慢と言っても過言ではない。
 しかし、魔術のプロフェッショナルである神裂とて、その術を探していないはずはない。ありとあらゆる手段を用いて、インデックスを治そうとしたはずだ。それでも届かなかったからこそ、現状の状況なのである。
 しかし、分からないことを分からないまま蓋をしてしまった彼女を、上条は理解できなかった。

 確かに、上条当麻は頭が悪い。ここで言う頭が悪いとは、知識が足りていないというだけであって決して愚鈍だと言う訳ではない。
 足りない知識は勉強するなり調べるなり、或いは教えを請うなりして解決を図り、補習はあれども何だかんだで単位はしっかりと取っていた。


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