過去ログ - 昼下がりの女子中学生 百合ver
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109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/10(日) 14:21:40.34 ID:hOlQShf80
カレンダーを見ることも、テレビを見ることも、時間を追うこともだんだんと少なくなっていた。
いつからだろう。一緒に追う人がいないからか。
「ちーちゃん、今年は浴衣来てもらうからね」
「いや」
私は首を振る。
「浴衣着るんだ?」
谷川が面白そうな顔をしている。
「着ないって。動きづらい」
「可愛いのに。ねえ、谷川さん」
「そうですね」
「言ってろ……」
ちらりと伊藤さんを見る。笑っている。なんとなくほっとして、かじりかけていたロールケーキに手を伸ばした。
昨年の伊藤さんは、綺麗だった。薄紫色の生地の浴衣で、サイドポニーにして。
川を見下ろした際に、少し俯いた細い首筋が思い出される。
哀れを誘うような後姿。そんな幼さは、伊藤さんの望むところではないのだろうけど。
彼女に普通ではない感情を抱くようになったのは、そんな脆さを愛しいと思ったからなんだろうか。
そんなことを自覚してしまってもしょうがないけれど。
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