18: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/08/07(木) 23:06:44.29 ID:iJvGxYcs0
「…………」
「もういいかい? ともかく、阿良々木くんとは短い付き合いだけど、彼は何にでも首を突っ込むお人好しなんだ。それは例えパラレルの世界でも一緒だ、というのが僕の予想でね」
これがふたつ目、とVサインをしてみせる忍野さん。
確かに阿良々木君はどんな状況だろうと性格は変わらないような気がする。
それは育ってきた環境もさる事ながら、阿良々木暦という人間の特色と言ってもいいだろう。
けれど、その愚かとも言えるひたむきさが彼が彼をしたら示しているものなんだ。
「今僕らがいる世界をA、川島さんがいた世界をBとしよう。Bの世界で何らかの契機で知り合った川島さんと阿良々木くんだけど、阿良々木くんの怪異を寄せる体質に川島さんは巻き込まれてこの世界に来た、というのが僕の推理だ。阿良々木くんのいる街に来たのも偶然じゃなく、阿良々木くんが原因みたいなものだから、惹かれたんだろうねえ」
本来の私は、阿良々木君とは知り合いであっても、今ほどの仲ではない、ということなのだろう。
そして最後に、と三本目の指を立てる。
「川島さん、君がずっと肌身離さず持っているそのカセットウォークマン。それに水火鴇が取り憑いているのが何よりの証拠さ」
私が記憶を失くす前から持っていた、唯一のもの。
何か昔のことに関しての手掛かりになると思って、ずっと大切に持っていたもの。
ウォークマンが忍野さんの言葉に呼応するかのように、きゅる、と小さな音を立てる。
と、同時に白い羽を広げた一匹の鴇の姿が現れた。
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