過去ログ - 「あっしがおっ死んじまった話」
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17: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:37:44.85 ID:pDIBvgpo0
馬車の周囲には、カイゼル髭にシルクハットという……何やらウサンクサイ輩が数人おりましテ。
その中に、ナント……若様がおられるのを、見ちまいましてナ。
こいつはいよいよオカシイぞと、あっしは訝しんだ訳です。


18: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:40:00.81 ID:pDIBvgpo0
そのうちにバタンと扉が閉まり、ぴしゃんという鞭の音がします。
こいつはいけねえと、あっしは無我夢中で、馬車の後ろに掴まりました。

ゴトゴトと馬車は山道を進みます……あっしは見つからないよう細心の注意をはらいながら、チラと窓越しに馬車の中を見ました。
若様は、カイゼル髭の輩どもと、なにやら下卑た笑みを浮かべながら話をしているのです……。
以下略



19: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:42:02.53 ID:pDIBvgpo0
秋口の事ですから、馬車の外に掴まるというのは、ナニ、少々身体にコタえるものがありまして。
町へ行くだけだったなら、ちょいと酒場で一杯、身体を温めようか……ナンテ、考えていた訳なのですが。

馬車はグングンと速度を上げて、脇道にそれていくではありませんか。
コイツはもうダメだ、なんて思った次第です。
以下略



20: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:44:54.68 ID:pDIBvgpo0
風に吹かれ、身体のシンまで冷えきった頃に、ヤット馬車の速度が弱まりました。
見ると、森の中に立派な赤煉瓦の建物があるのです。……驚きましたよ、それはそれは……。

あっしはエイヤっと馬車から飛び降り、近くの木陰に身を潜めました。
馬車はすぐに止まり、中からカイゼル髭と若様が降ります。
以下略



21: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:46:36.57 ID:pDIBvgpo0
さて、赤煉瓦へと入っていった若様達ですが、
これが一刻たってもニ刻たっても、ウンともスンとも言わん訳でして……。

そのうちにあっしはシビレをきらして、ソロリソロリと赤煉瓦へと近づいていきました。
中から若様が出てきて鉢合わせしたら、わんと一声吠えて逃げてやるぞと、そう思いながら近づいていきました。
以下略



22: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:48:23.33 ID:pDIBvgpo0
赤煉瓦を指先でコツコツつつき、グルグルと周囲を回りました。
入口の鉄製の扉は、カカアの財布のヒモのように硬く閉まっておりましてな。どうにも中の様子は見れそうにない。
あっしは暫く考えました。そして、

上の方になら、昼間に使う『明かり窓』があるかもしれないナ……と、思うた訳です。
以下略



23: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:50:04.85 ID:pDIBvgpo0
あっしはウンウン唸りながら、煉瓦を登って行きました。
そして、やっとこさの思いで、明かり窓まで辿り着いた訳です。
我ながら何という執念で御座いましょうか……。

アンナ執念なんぞ無ければ、あっしはおっ死ぬ事は無かった訳ですから、皮肉なモンです。アハハハハ……。


24: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:52:04.02 ID:pDIBvgpo0
あっしは恐るオソル、窓の向こうを見ました。
そこには……ヤヤ、どうも言葉にはしづらいモンでして。奥様の前では特にねェ。へへへへへへ……。

窓の向こうにゃあ、何てことはねえ……丸裸の人間が大勢いたんですよ。

以下略



25: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:53:55.13 ID:pDIBvgpo0
さんざっぱら地獄を眺めていたあっしですが、
一刻もたった頃にやっと、気付いちまったんでゲス……。

丸裸になり、獣のように交わる奴らに『加わっていない』奴がいる、と……。

以下略



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/08/07(木) 23:55:06.42 ID:pxUWmbKU0
なんだ?
この夏休みに初めて夢野久作でもよんで例の病気を発症したのかww


27: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:55:16.07 ID:pDIBvgpo0
あっしは転がり落ちるように赤煉瓦から降りると、
一目散に屋敷の方へとかけ出しました。

何分、若い年頃でしたモンで……馬車でガタゴト揺られた道を、ひとっ走り戻るのはそう苦ではありませんでした。
頭の中で、先ほど見た景色を忘れようと、努力しながら走ったのをよく覚えております。
以下略



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