過去ログ - 「あっしがおっ死んじまった話」
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21: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:46:36.57 ID:pDIBvgpo0
さて、赤煉瓦へと入っていった若様達ですが、
これが一刻たってもニ刻たっても、ウンともスンとも言わん訳でして……。

そのうちにあっしはシビレをきらして、ソロリソロリと赤煉瓦へと近づいていきました。
中から若様が出てきて鉢合わせしたら、わんと一声吠えて逃げてやるぞと、そう思いながら近づいていきました。
以下略



22: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:48:23.33 ID:pDIBvgpo0
赤煉瓦を指先でコツコツつつき、グルグルと周囲を回りました。
入口の鉄製の扉は、カカアの財布のヒモのように硬く閉まっておりましてな。どうにも中の様子は見れそうにない。
あっしは暫く考えました。そして、

上の方になら、昼間に使う『明かり窓』があるかもしれないナ……と、思うた訳です。
以下略



23: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:50:04.85 ID:pDIBvgpo0
あっしはウンウン唸りながら、煉瓦を登って行きました。
そして、やっとこさの思いで、明かり窓まで辿り着いた訳です。
我ながら何という執念で御座いましょうか……。

アンナ執念なんぞ無ければ、あっしはおっ死ぬ事は無かった訳ですから、皮肉なモンです。アハハハハ……。


24: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:52:04.02 ID:pDIBvgpo0
あっしは恐るオソル、窓の向こうを見ました。
そこには……ヤヤ、どうも言葉にはしづらいモンでして。奥様の前では特にねェ。へへへへへへ……。

窓の向こうにゃあ、何てことはねえ……丸裸の人間が大勢いたんですよ。

以下略



25: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:53:55.13 ID:pDIBvgpo0
さんざっぱら地獄を眺めていたあっしですが、
一刻もたった頃にやっと、気付いちまったんでゲス……。

丸裸になり、獣のように交わる奴らに『加わっていない』奴がいる、と……。

以下略



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/08/07(木) 23:55:06.42 ID:pxUWmbKU0
なんだ?
この夏休みに初めて夢野久作でもよんで例の病気を発症したのかww


27: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:55:16.07 ID:pDIBvgpo0
あっしは転がり落ちるように赤煉瓦から降りると、
一目散に屋敷の方へとかけ出しました。

何分、若い年頃でしたモンで……馬車でガタゴト揺られた道を、ひとっ走り戻るのはそう苦ではありませんでした。
頭の中で、先ほど見た景色を忘れようと、努力しながら走ったのをよく覚えております。
以下略



28: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:56:36.51 ID:pDIBvgpo0
……何?その話がどう、あっしがおっ死んだ話と繋がるのかって?
イヤこりゃ失礼、旦那。あっしは人より木々と話した年数の方が長いモンでげして。
話下手なのはどうか、ご了承を……足を崩して下さい、ドウカ……。

長々と話した地獄話……極楽浄土話でごぜえますが、こいつは密接に、あっしの死に繋がるもんでゲして。
以下略



29: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:57:53.70 ID:pDIBvgpo0
旦那、葉巻をモウ一本頂けますかい?
ヤヤ、どうも……有り難い。良いモクでげすな。こんな上質なモンは初めてで……。

ゴホン。……フウーッ……。

以下略



30: ◆eUwxvhsdPM[saga sage]
2014/08/07(木) 23:59:50.64 ID:pDIBvgpo0
(今更ですが、ご指摘にあった通り、このSSは夢野久作『人間腸詰』を元ネタに、>>1の夢野久作好きを盛り沢山にしてお送りします)


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