過去ログ - 「あっしがおっ死んじまった話」
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4: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:03:20.78 ID:pDIBvgpo0
ヘエ、奥様はそのようなお話が大のお好きだと仰る……マイリましたなァドウモ。
酒の肴にするにゃあチと、下らないお話でゲスので……ハァ。
あっしがおっ死んじまった訳ですからね。こんな話、旦那にしても……。
アラ、旦那。旦那もお好きだと言いますか。ウワア、えらい事になったナ。


5: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:07:28.97 ID:pDIBvgpo0
ならばお話しますが……どうか、ドウカ。……ちいとばかし長いお話になりますのでね。足を崩して頂ければト。
ヤッ、奥様お酌なんぞは……あっしには必要の無い事でゲス。お構い遊ばしません。こぼれます、コボレマスので……結構。どうも……。
代わりに旦那、葉巻を一本頂ければト……ヤヤ、ドウモかたじけない。……火まで頂けるとは、恐縮です……。

……フウーッ……。
以下略



6: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:10:50.64 ID:pDIBvgpo0
……あっしの生まれ故郷は、そいつァ大層な田舎なもんでゲして。
あっしはその土地を治めるさる貴族の屋敷で、庭師として生きておりました。
日ガナ一日枝をチョキン、石をゴロリと転がしましテ、お偉ガタが喜びなさるような、素晴らしい庭を作っておりました。


7: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:13:11.30 ID:pDIBvgpo0
自慢じゃあありませんが、あっしの作る庭はそれはそれは綺麗なモンで……主人が喜びなさるモンなんで、あっしも張り切って枝をチョキチョキ、石をゴロンときたもんです。
アンマリにも張り切って、毎日毎日道具をキチンと手入れしてたモンなので、主人はあっしの道具を金剛石(ダイアモンド)か何かだと思ったようで……。
使い古したあっしの道具が、もうチットで紙のお金に変わる所でゲしたという……アハハハハ、笑い話が御座いまして。

今思えばそうした方が良かったかもしれません。……イヤ何、こちらの話でして。フウーッ……。


8: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:16:18.42 ID:pDIBvgpo0
自慢といやあ、あっしの歳の離れた妹も自慢の一つでした。
名をミチコと言いまして……こいつがあっしに似ず、可愛い娘なんでゲス。
背丈は五尺チョットぐらいの、小柄な愛らしい猫のような娘でして……。

丁度奥様に良く似た顔立ちで御座いました。……イヤ失礼!奥様の方がお綺麗で……ドウモ、すみません。ヘヘヘ、慣れないモノで……ドウモ。


9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/07(木) 23:19:08.95 ID:6aHb1HMq0
文才を感じる


10: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:20:57.20 ID:pDIBvgpo0
ともかくあっしは妹を、マルで実の娘であるかのように可愛がっておりましテ。オイと呼べばハイと答え、ナアと言えばナアニと答える……そんな妹が可愛くて可愛くて仕方ありませんでした。
仕事の方でも、そうですね。……あっしが植えた苗にミチコが水をやる、あっしが切った枝をミチコが集めるという具合でしテ。それはそれは仲が良く……。

へへへ、どうも相すいやせん。惚気話に付き合わせてしまいやして。しかしここが大切なお話でして……フウーッ……ああ失礼旦那。灰皿を……エエどうも。ドウモ……。


11: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:23:52.64 ID:pDIBvgpo0
ミチコは誰にでも愛想が良く、あっしと違って皆の人気者でゲした。
お空の上にある太陽に負けないくらい、明るい笑顔で庭仕事をするモンですから。
小さい頃から他の庭師に、可愛がられて育ちました。

あっしは気が気じゃありませんでしたね。アハハハ……アハアハアハ……可愛い妹をそこらのキタネエ庭師にやれるかと、鼻息荒く妹の周囲を、犬のようにグルグル回っておりましたよ。
以下略



12: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:26:04.23 ID:pDIBvgpo0
ある日、あっしは目ざとく気付いちまったモンでげして。
貴族の若様が、ミチコに『イロ目』を使ってる……訳でゲして。

確かにミチコは、それはそれは可愛いモンでしたが、まさか若様の目に留まるとは思いもしませんでしたナ。
頭痛が痛いというバカな言葉が出ちまうのも無理は無いですよ。


13: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:28:03.31 ID:pDIBvgpo0
貴族と庭師とじゃあ、それはもう身分が違うって騒ぎじゃあありませんからね……あっしは若様のお気持ちに気付きましたが、ナンとも言わずに日々を過ごしておりました。

しかし、どうにもオカしい。……若様はどうやら、本気なようでゲして……へへへ、兄としては喜ぶ所なんで御座いましょうが、どうにも受け入れられなくてですね。
若様が日ごと、ミチコとの距離を詰めていくのを、歯ガユイ気持ちで見ておりましたよ。


14: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2014/08/07(木) 23:30:29.27 ID:pDIBvgpo0
しかしまあ、あっしはトコトン運が悪い男でして。

……磨き終わったノコギリ一丁を、庭の石蔵に仕舞おうと思うた、夕暮れ時の頃です。
石蔵の影で、若様とミチコが……チッスをしているのを、見ちまいましてね。
……ヘエ……キッス、ですか。……どうも相すいません。田舎者でげして。
以下略



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