8: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2014/08/10(日) 02:22:56.41 ID:W8gl1k40o
「まあ、用がなさそうなのは見ていれば判るんだけどな、どうにも君の様子が妙なんでね。声を掛けてみたのさ」
「ヘンなナンパの仕方だね」
「いや、ナンパじゃなくて。何か放っておけない、と云うべきか……あぁ、俺は別に怪しい者じゃない」
猜疑の目を少しでも和らげようと、「普通のサラリーマンだ」と云って証明書代わりの名刺を差し出す。
どう説明したものかと男が思案していると、少女はついにガードレールから尻を離した。
「私、急いでるから。もういい?」
どう見ても急いでいるようには思えないのだが、これは『私に構うな』と云う常套句。
「じゃ」
少女は短くそう嘆息して、男や、彼の名刺など一瞥もせず、駅の改札へ向かって歩いて行った。
去り際に、「……変なの」と云う呟きを残して。
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