過去ログ - 幼馴染「彼氏出来たから紹介するね」男「…え?」
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名無しNIPPER
2015/07/06(月) 19:03:42.32 ID:O1xONmO+O
まるで実感の湧かない季節の変わり目は自覚しない分、もっと分からなくなる。
ゆっくりと舐めるように夜風に冷やされる身体。風呂あがりに火照った芯は、まだ小さく温かい。
先輩妹「……」
以前、兄がこう零したことがあった。
『空がたまにキラキラと光る時がある。特に部活動中だな、すると次の日のニュースでは季節の変わり目は今日だと言われた』
そう何気なく呟かれた兄の言葉に、当時の私は軽く衝撃を受けた。
まるではそれは超能力の何かだ。気温の変化を体感して季節の移りを見つける人は居るだろう。しかし兄は視界で変化を感じ取る。
見上げた空。まんべんなく、どっぺりと塗りたくられた茜色に染まった上空に浮かぶのは──不可解な煌き。
兄はそれをたまに視認することがあった。上手く説明も出来なければ、他人には感知などできず、兄だけが見える一つの規準。
私はその事を『世界に愛されてるんだ、この人』と何ら疑いなくそう判断した。
世界は何時だって意地悪で冷酷。
努力もしなければ結果も見ようとしない異常者達とは違って、ただひたすら【未来】を見据え一歩、また一歩と進む兄だからこそ、
見えるようになった世界の表情。
先輩妹「それを羨ましいと思うことは…やっぱり傲慢かなぁ…」
兄は自分自身の価値を認めようとはしないだろう。実際、愛されてることすら分かってない。
努力をすれば見合った結果が訪れる。そう、本気で信じ切れてる純粋無欠な人間の限り、私のような異常者の感性を理解は出来ない。
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