8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/08/13(水) 20:33:09.46 ID:Rrtr/L4l0
…………
勇者「あの時の俺は泣き言しか言ってなかったな……」
僧正「仕方がないでしょう、まだ年端も行かぬ少年に勇者の使命は重すぎました」
勇者「………そうだな、だが……俺は必死に耐えた………剣士…戦士の父親からの稽古、賢者…以前は魔法使いか……との魔法の修得……それが終わってからの長い旅も」
僧正「………帰りたい一心で?」
勇者「……ああ」
僧正「………そうでしょうね…何時からでしょう、貴方が元の世界へと帰還するのを諦めたのは」
勇者「何時だったかな……まぁ、とにかく…俺は元の世界へと帰ることが逆に怖くなった、とっくに居場所なんてなくなっているだろうからね」
僧正「…………」
勇者「君には話した事があったよな、俺の世界は平和で、剣や魔法なんて存在しない所だった、俺は……そうだ、中学生になったばかりの頃にここに来て、勇者とされた」
僧正「はい、どんな暮らしだったのかとか、お父様の事を尊敬していた、お母様の優しさに甘えてばかりだった、少し年の離れたお姉様に可愛がられていて鬱陶しく思っていた…とか色々聞きましたよ?」クスッ
勇者「………よく覚えてるな…そこまで詳しく話してたのか……まぁ、他にも仲の良い友人、クラスメイト……自分が幸せなのだと感じていた程度にはな…それだから、俺は向こうの世界へ未練が強かった」
勇者「………だからこそ、ある時怖くなった。もし、向こうの世界に帰るとして、俺の知っている人達は生きているのか?両親は、姉さんは………友達は?いや、もし生きてくれたとして、そのそこに俺の居場所は有るのか?」
僧正「………勇者」
勇者「………俺は…それを確認でるほどの勇気は既にない」
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