過去ログ - トール「前と、後ろ。どっちがいい?」フィアンマ「どっち、も」
↓
1-
覧
板
20
39
:
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2014/09/14(日) 02:36:31.88 ID:t2bNm15U0
服を着替え、血液の染み付いた衣服を纏め、重しをつけ、海に沈め。
その子はベッドに座ったまま、ぼんやりとしていた。
少年は手をひらひらと、その子の前でちらつかせる。
それによって意識が向いたのか、教会で懺悔でもするかのようにその子が言った。
『……いらないっていわれた』
『…なにが? だれに?』
『かあさんに。…とうさんは、そんなことはないっていってた。
でも、かあさんのことばをきいて、やっぱりいらないだろうって。
ふねがついたら、りょうようじょにあずけてにげようって、いってた』
端的な説明で、少年には何の話かわからなかった。
だから、隣に座って続きを促した。
『わたしは、むかしからからだがよわくて』
元は、孤児だった。
というよりも、実の両親に産まれてすぐに捨てられた。
幸運にも養護施設に拾われ、現在の両親に引き取られた。
貴族の家の後継者として、厳しく躾けられた。
一生懸命やっているつもりで、そのストレスは徐々に己を蝕み。
元より病弱な身体はすぐに悲鳴を上げた。
女の名を付けられ、中性的な装いをし、死神が困惑するような容姿になり。
最初こそ、両親は優しかった。
ありとあらゆる医療技術やオカルトに頼り、その過程で魔術師になり、己を救おうとしてくれた。
けれども、何一つ実らなかった。
そればかりか、奇妙なことばかり起きた。
己を可愛がった人間が次々と事故死し、その保険金が家へと入ってきた。
当然、周囲からは蔑まれる。偶然は、三度続けば故意と見える。
段々と、愛されなくなっていった。目障りだと、そう言わんばかりの空気があった。
子を産めぬ身体の若き母親は、冷たく当たるようになった。
父親も根は優しかったが、母親に追従するところがあった。
小旅行だと乗せられた船、ドア越しに聞いた会話は残酷なもので。
あの子は悪魔だった。
あんな子供を引き取らなければ良かった。
船が着いたら、療養所に預け捨てよう。
新しい子供を引き取れば、まだやり直せる。
―――――結局は。
何もかもが体面の為だったのだと、そう思った。
<<前のレス[*]
|
次のレス[#]>>
84Res/74.80 KB
↑[8]
前[4]
次[6]
板[3]
1-[1]
l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。
過去ログ - トール「前と、後ろ。どっちがいい?」フィアンマ「どっち、も」 -SS速報VIP http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/kako/1408285074/
VIPサービス増築中!
携帯うpろだ
|
隙間うpろだ
Powered By
VIPservice