過去ログ - トール「前と、後ろ。どっちがいい?」フィアンマ「どっち、も」
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7: ◆RxERbt62ozsf[saga]
2014/08/17(日) 23:26:42.36 ID:oyMdLABn0

「……様子がおかしいな」
「…………」

テロか何かなら、銃声のひとつ位聞こえてきそうなものだが。
無音で事を済ませているのなら、車掌や運転者は殺されている恐れが高い。

そんな物騒なことを考えていると、左手を掴まれる。
手の元を辿ると、青ざめた顔で十字架を握るフィアンマの姿がある。
列車事故を想定しているのか、テロやハイジャック被害の経験があるのだろうか。
何にしろ顔色は酷く悪いし、体温が低い。緊張しているようだ。
先程の瓦礫の件もあるし、パニックに陥りやすい体質をしているのかもしれない。

「、……主よ、…あ、われな子羊を、おす、くいくだ、さい」

ぎゅう、と握りこんだ十字架が曲がってしまいそうに思える。
教会に勤めていない時点であまり信心深い神父には見えなかったが、存外違うようだ。
または、パニックになり易く、弱い自分を変えるために聖職者になったのか。
理由はともかく、恐慌状態の一歩手前に陥っていることは明らかだった。
トールは左手でフィアンマの左手を握り、努めて冷静に声をかけた。
弱々しく握り返してくる辺り、まだ思考力は残っている。

「行くぞ」
「何処、へ?」
「車掌室だよ。問題の原因を特定する。
 既に目的駅も過ぎてるし、このまま脱線事故起こされても困るだろ」
「……俺様も…?」
「一人で震えていたいなら此処に居りゃ良い。止めねえよ」
「……選べない」

えらべない、と再度たどたどしく呟き、フィアンマはトールの手を先程より強く握った。


「………はぁあ…」

流石にため息をつき、トールは手を伸ばす。
そしてフィアンマの胸ぐらを掴んで立たせると、視線を合わせて淡々と言った。

「――――なら、俺についてこい。"わかりやすい危険"からは守ってやるから」

対して、フィアンマは十字架からようやく手を離し。
すぅ、はぁ、と数度自分を落ち着ける為の深呼吸を繰り返した後に。

「……わかった」












――――世界を救う者と世界を統べる神が交わる時、物語は始まる――――


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