24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/19(火) 01:11:15.92 ID:BUsk+QUpO
それは、一人で事務所にいた時のことでした。
何気なく壁を見たら、白い壁に、黒い点があったんです。
なんだろう? まさか、ゴキブリ?
そう思って近づくと、それは、穴でした。
五百円玉くらいの大きさでした。
私は、目を、そっと近づけて、中を覗いてみました。
見えたのは、見慣れた765プロの事務所でした。
ただし、今の事務所よりも、もっと、ずっと、汚れて、荒れていました。
薄暗いその事務所には、人が、一人だけいました。
それは、私でした。
昔よく着ていた服を身につけて、誰もいない事務所で一人、お茶を飲んでいました。
疲れたような顔、目には隈、私よりも少し痩せた彼女は、とても悲しそうで。
そんな彼女を見ていると、突然、涙が溢れてきました。
自分でもよく分からなかったけれど、なんだか、申し訳ないような気持ちになっていました。
涙で歪んだ視界の中で、彼女は歌い始めました。
その歌声は、私の声とは、少し違う声でした。
ですが、そんなことは気にならず、私はただただ聴き入っていました。
どれくらい時間が経ったでしょうか。
気がつくと、彼女は歌うのを止め、こっちを見ていました。
すると、私は何故か眠くなりだし、目を開けるのも辛くなっていきました。
そんな中で、彼女は、口を開きました。
「─────。────」
私は、まどろみながらも、確かにその声を聞きました。
目を覚ました時、事務所にはみんなが揃っていました。
壁に目をやると、穴はなくなっていました。
夢のようなその出来事は、今でも私の胸に、深く、深く、刻まれています。
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