過去ログ - 花陽「こうなるまでのお話」
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70: ◆oZf06d53Imn3[saga]
2014/08/29(金) 05:09:50.48 ID:dxfoKUYro

広い浴槽と言っても、二人一緒に入ると、少し窮屈さを覚えます。

身体を洗ったあとは背中合わせで、お湯を張った浴槽に、海未ちゃんとふたりきり。

気が気でなくて、もうそろそろ頭が爆発しそうでした。

乱れた精神を統一するためにミナリンスキーを数えるのにも、限界が訪れようとしていました。

なにせ私の背中には海未ちゃんの背中が。

大好きな。……絶対に、想いを届けることが出来ないと思っていた、海未ちゃんの背中が、あるんだから。





「花陽……?」

「な、なんでしょうか」

敬語になっちゃいました……。

ちゃぷんと、間を埋めるように水の音が浴室に響きます。

「今日は、ありがとうございます」

「そんな、お礼なんて……むしろ花陽が言いたいくらいで」

「いえ……。本当は、今日、花陽に拒絶をされても仕方がないという覚悟でした」

「……」

「それを、花陽は全部受け止めてくれて……私は」

「本当に、幸せです」


海未ちゃんの手が、私の手を、きゅっと握っていました。

背中合わせになりながら、手だけは優しいぬくもり。

「ありがとう」

私は、それだけしか言えず……なぜか。涙がでてきてしまいました 。


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