過去ログ - 叢雲「落ち着きが無いわね。大丈夫?」グラハム「私は我慢弱い」
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104: ◆WHzNz9zb1A[sage]
2015/01/18(日) 02:07:16.41 ID:Z51wJq0AO
>>87


グラハム「ッ!」

叢雲「きゃっ……!?」


 そして、ほぼ同時に建物全体が大きく揺さぶられた。
 繋がった手が引かれて、彼が私の身体を抱き寄せる。
 外見からは分からなかったが、相当に鍛えられた男の身体が支えてくれた。


担当官「砲撃……?!」

憲兵中尉「あきつ丸=サン!」

あきつ丸『こちら外であります。どうやら防衛ラインを抜けた敵の砲撃が、運悪く支柱を腐らせたようであります』

あきつ丸『キカンの者達はもうすぐ合流するとのこと、装備が整い次第我々も!』

憲兵中尉『引き続き偵察を頼む。可能ならば迎撃に当たる艦娘のサポートを』

あきつ丸『ヨロコンデー!』

憲兵中尉「……どうやら、敵が沿岸にまで近づいているようです。此処もそろそろ危険かと」

グラハム「……そうか」

グラハム「ならば、往くか。叢雲」

叢雲「えっ?」

グラハム「奴らがすぐ其処まで迫っている。水際で止めねば、誰かが犠牲になるやも知れん」

グラハム「お前はそれを祓う力がある、艦娘だ」


 抱き締めていた手が肩に置かれ、引き離された。
 もうすぐそこまで、深海棲艦が近づいているのだ。
 彼は知っているかは分からないが、奴らの力の前では如何なる防衛設備も無力に等しい。
 対抗出来るのはただ一つ、艦娘という存在のみ。


叢雲「ッ……」

 もはや一刻の猶予も無い。
 恐れもある、躊躇いもある。
 でも、逃げるつもりはない。己の魂に、嘘偽りなんて残さない。

叢雲「えぇ、往きましょうグラハム……いいえ、司令官」

グラハム「君の戦う理由の為に」

叢雲「貴方の戦う理由の為に!」


 マストを構え直し、迷いを振り払うように、先端で空に孤を描く。
 目指すは海。敵は深海棲艦。
 待ちわびていたというように憲兵が扉を開く。向かい風が、試すように私の髪を撫でていった。


叢雲「叢雲、出撃するわ! ……抜錨!」


 これが、私達の初陣。最初の共同作業となった。





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