過去ログ - 叢雲「落ち着きが無いわね。大丈夫?」グラハム「私は我慢弱い」
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288: ◆WHzNz9zb1A[sage saga]
2015/11/24(火) 04:43:10.40 ID:e/uNOisao

 顎に手を置き、少しばかりの考える仕草。
 それは、どう言えば良いのか、という迷いに見えた。
 そうしてから、取り出したのは携帯端末ではなく、一冊の手帳。
 真新しい官給品は、早くもページに寄れが出来つつあった。


グラハム「確証はない、決定的な情報もない。そもそもあったら問題ではないかとさえ考えている」

グラハム「だが、後はこれくらいだろうな」

叢雲「……これは?」

グラハム「以前、この鎮守府を襲ったテロの詳細と、その顛末」

グラハム「我々の前任者の結末等々、此処に至るまでの簡易的な写し書きだ」


 渡された手帳には、意外にも見やすい達筆で連々と綴られていた。
 前任・マリーダ・クルス中佐。秘書艦と国道〇〇号を走行中、反海軍武装勢力の襲撃を受け死亡。
 秘書艦・漣。同上。
 マリーダ……聞き覚えがあるようなないような……ともあれ、心の中で手を合わせた。御霊、安らかなれ。
 ただ、その後に強調の円で囲まれた部分。
 そこが目に留まると、思わず彼と顔を見合わせた。
 

叢雲「……どこでこんなの見つけてきたの? あんた」

グラハム「次から次へ、新情報というのも申し訳ないがね」

グラハム「こう見えて、猜疑心の強い男なのだよ。グラハム・エーカーという男は」


 一枚の地図、簡単なこの鎮守府の見取り図を取り囲む矢印たち。
 地図自体は先ほど見たものと相違ない、取るに足らない代物でしかない。
 だが、囲んでいるもの。鎮守府へ小さな矢印を飛ばす大きな矢尻の集団。
 それが武装勢力だと知ってしまうと、背筋に嫌な冷たさが走るようだった。


グラハム「彼らが襲撃してきたのは深夜二時過ぎ、海防夜間警備任務の帰還を待ってからという徹底ぶりだ」

グラハム「まず施設めがけての一斉砲撃、頑丈な工廠や資材倉庫には特に念の入った回数を仕掛けている」

グラハム「出入り口、そして港にも即座に装甲車と小型船舶の同時突入。装備もその後接収したものを見ても相当な重武装だ」

叢雲「艦娘を殺したいだけなら、ここまでのはいらないわね……」

グラハム「海に出られないようにしつつ、陸で確実に徹底的に仕留める手口」

グラハム「そして遂行速度と確実性を重視した電撃的なテロ行為……完全にプロの手際だ」



グラハム「だが、誰も死ななかった」


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