過去ログ - 叢雲「落ち着きが無いわね。大丈夫?」グラハム「私は我慢弱い」
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295: ◆WHzNz9zb1A[sage saga]
2015/12/11(金) 04:04:45.33 ID:MTcjzCmDo
 諦観。
 その言葉の意味は、どう取ればいいのだろう。
 彼の考えていることが何となく分かってしまうのが、かえって事態の深刻さを重ねているようにも感じた。


グラハム「急ごう、とにかくこうなれば他の面々にも事情を……」


 そうして、グラハムが立ち上がった瞬間。


『その必要はありません』

グラハム「!!」

叢雲「え……?!」


 私達の前に、【彼女】が現れた。
 失念していた、あまりにも意外なタイミングで――。


―――――


「なあんだ、まだ生きていたんだ」

「とうの昔に餓死か自害でもしたかと思ってたぜ、お嬢ちゃん」


 暗い、暗い、洞穴の中。
 うずくまった桃色の髪の少女が、二人のケンペイに囲まれていた。
 舗装された床に粗く塗られた冷たい壁の重み、そして心ない言葉が彼女の心を凍てつかせていく。
 薄汚れた華奢な身体が、ホコリまみれの空気の中で力無く顔を上げる。
 見下ろす二人の男女の眼差しが、口から出した以上の暴力を彼女めがけて降り注がせた。


「あんたにはアイサツも要らないわね、手間かけさせてくれたもんだわ」


 女性の右手には三本のクナイ・ダート、男の両手には改造された大口径長銃がそれぞれ握られている。
 抵抗すれば即座に無力化、ないしは殺害するための装備。
 一目瞭然の恫喝・牽制であるが、もはや相対する少女にそんな意志も力もなかった。


「来てもらうぜ、脱走艦。お前の存在がバレると色々面倒なんだ」

「ちょっと、一応は生け捕り重点よ」

「ガラクタの申し開きなんぞ待つ気はねえ」

「呆れた……好きにして頂戴」


 抵抗どころか立つことすらままならぬ彼女に、長銃の銃床を掲げるケンペイ。
 気絶させて運ぼうというのだろう、たしかに彼らの身体能力なら艤装付きでもやすやす飛び回れるはずだ。
 だが、その衝撃を弱った彼女に与えるとなれば、話は別。
 万が一を考慮する余裕が無いわけではない。
 どうでもいいのだ、彼らにとって、その結果がどう転ぼうとも。


「じゃあな……!」

 


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