過去ログ - 叢雲「落ち着きが無いわね。大丈夫?」グラハム「私は我慢弱い」
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4: ◆WHzNz9zb1A
2014/08/21(木) 06:28:46.93 ID:DImNb6JAO
グラハム「もう一年を過ぎた」

 不意に、奴が口を開く。
 次から次へと噴き出す汗を拭いながら、何か感慨深さを感じさせる顔をして。

グラハム「この世界に来て、この国に来て……この鎮守府に、お前と共に着任してから、もうそんなに経ったのだな」

叢雲「ぴったり一年の節目でも無いでしょうに、何を言い出すかと思ったら……」

グラハム「ふふ、月を見上げていたらついそんなことを考えてしまった。私としたことが、随分とセンチメンタルなことだ」

叢雲「……榛名は? 丸め込んで来た訳じゃないんでしょ」

グラハム「よく寝ていた、安心しろ。抜け出すのは孤児院時代からの得意分野でね」

叢雲「その得意分野のおかげで、あんたとの出逢いは最悪だったんだけど」

グラハム「ふっ、懐かしいものだな。あの待遇、今となっては考えもつかんが……」

叢雲「…………」

叢雲「そう……もうそんなに経ったのね」

 二人して、多分同時に月を見上げた。
 満月の明かりが鎮守府を白く照らして、眩しいくらいだ。
増改築を繰り返し新旧まだらな建物の壁は、短くも怒涛な我が鎮守府の道程を、白光の下で何も言わずに語っているようだった。

叢雲「色々あったわね、本当に」

グラハム「あの時は本当に何も無かった。まるでまだ夢を見ているかのようだよ」

叢雲「脛でも蹴り飛ばして現実を体感させてあげましょうか?」

グラハム「御免被る。十分過ぎるほど噛みしめているさ……現実をな」

叢雲「……なら、良いけど」


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