過去ログ - 叢雲「落ち着きが無いわね。大丈夫?」グラハム「私は我慢弱い」
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84: ◆WHzNz9zb1A[sage]
2014/11/16(日) 04:04:31.33 ID:sXdg96BAO


グラハム「私は、軍人としてとある戦場に赴いた」

グラハム「君達が滑稽と笑う、MSに乗り込んで……SF映画に出てくるような、異星人との戦争の為に、だ」

叢雲「…………」

グラハム「推定戦力比、一万対一。上下左右、あらゆる場所は敵に埋め尽くされ……仲間からの通信などは、阿鼻叫喚の中に撃墜を表す電子音の途切れる音が混じる、まさしく地獄のオーケストラだ」

グラハム「そして私もまた助からぬ損傷を負い……敵陣に吶喊し、自爆して果てた。あぁ、まごうことなきカミカゼだ、それは自覚している」

グラハム「不思議なものさ。こうやって五体満足のままで君の前に立っているのに……あのときの感覚は、はっきりと記憶の中に刻みつけられている」

グラハム「爆炎と高濃度圧縮粒子に感覚を奪われた身体が呑み込まれて……まるでスローモーションのように、少しずつ自分が千切り取られて無くなっていく感覚」

グラハム「……あのとき、確かに私は死んだ。そう言い切れるだけのことを私は覚えている」


 軽い身振り手振りと共に、実にあっさりと告げられたこと。
 彼を見る他の者の眼は、彼の正気を疑うように直視を避けて向けられる。


グラハム「……だが、私はそれでも後悔はしていない」

グラハム「軍人として任務に当たる以上、生命の危機は想定して然るべきだ。だがそんな定型文とは別の場所に、我々には必要なものがあると私は考えている」

叢雲「……それは、何?」

グラハム「命を賭けるに値する理由。この為ならば死ぬことさえ厭わないという、何かだ」

グラハム「私の師にとっては、家族だった。彼は自らの命を捨てることで家族に報い、私との戦いで空に散った」

グラハム「それを見て、私は一つの考えに辿り着いた。我々軍人に必要なのは、納得なのだと。自らの死を許容出来る、理由なのだと」

グラハム「それが無い死は……きっと、死ぬよりも苦しむことになる。全てに絶望し、憎悪し、呪った挙げ句に、死ぬ」

グラハム「その理由が、私には存在した。そして……今の君にも存在するはずだ」

叢雲「!」


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