過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part11
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885: ◆R/5y8AboOk[saga]
2015/02/25(水) 19:36:54.18 ID:trCOmHiz0

 地上に人を容易に呑み込む程度の影を落としながら飛ぶ真っ黒なそれは、傍目には肥大化した鴉のようにも見えた。

 が、一目見てそれをそれと判断できる人外の動体視力を持つ者や、興味を持って凝視してみる者が居れば、それは引き伸ばしたアメリカンフットボールのような胴体からカイトのように翼を広げた、なかなか奇妙な飛翔体だと解る。

 よもや、己に危害を加えるものか。

 それを見、黒々とした巨体にカースなどを連想すれば、そういったことを思いつくこともあろう。
 が、反面怪異が怪異でなくなった世界に住む彼等は、頭上を過ぎ去って建物の向こうに消え、何もなかったと理解する頃には尽くが興味を失っていた。

 それは静かに空を切り、時折ばさりと翼をはためかせながら、喧噪を遠くした住宅街をぐるぐると低回する。

 何やら地上に探すような飛行のうち、じっと眺めていた誰かが不気味さを覚える頃。やおら体を傾けて急なカーブを描いたそれは、今度は一直線に空を滑る。

 それと同時にはためきが顕著になり、向かう先は、遠く高いマンションの屋上。
 緩やかに上昇する軌道で飛んだそれは、マンションに接触する丁度のタイミングで目的の高度に達すると、体を上に傾けると同時に翼をぐんと広げ、体を受け止めるに足る揚力を受けてその屋上に着地する。



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