過去ログ - 【Fate】君達が紡ぐやる夫の物語【安価とコンマで聖杯戦争】 -SS速報VIP

過去ログ - 【Fate】君達が紡ぐやる夫の物語【安価とコンマで聖杯戦争】

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872:1 ◆JwraddSSjo[saga]
2014/08/26(火) 03:22:00.31 ID:Ae+SA1uyo

貴方「分かるはずがないだろう？最初から諦めた者の気持ちなどな！」

メルトリリス「諦めてなんか居なかった！私は私なりの愛し方で足掻いた！」

―――それでも届かなかった。彼女は涙を流しながら答えた。

その言葉に瞼を開け、穏やかな視線で彼女と見つめ合う貴方。

貴方「ならば訂正しようメルト。もっと足掻け、足掻いて足掻いて足掻き抜け」

メルトリリス「届かないのよ！地球から月には届かない！」

メルトリリス「…人型である以上、届く届かないの絶対の距離がある」

貴方「だから諦めると？その距離が君と想い人の心の距離に投影されていると？」

ふんと吐き捨てて貴方は尚も続ける。届かぬ者が届く様に背中を後押しするために。

貴方「私には君の諦めたくないという意志しか伝わらないが？」

その言葉は今までの誰よりも吐かれた毒よりも強い光となって彼女を指した。

貴方「そもそもだ。諦観の者が見せるのは虚ろのみ。だが君には強かな意志があり、躰があるではないか」

貴方「―――何故、届かぬはずの天上に手を伸ばした？何故君は泣いている？」

メルトリリス「……止めて！」

これ以上は辛いからと惨めになるだけだと、必死に拒絶する彼女。

手はこれ以上聞きたくないからと両の耳を塞いでいる。

貴方「―――何故、君は私の言葉から逃げようとする？何故、君は拒絶する？」

だが止めない。ここで止めることこそ間違いだ。彼女を真に想うのであれば続ける事こそが正。

貴方「それは君が未だ諦めて居ない証左ではないのか？」

本当に届かぬ物を前にしたのなら誰もがその場から消える。それは当然の道理だ。

無駄にしかならないがため。

だが彼女はこんなにも足掻いている。手を伸ばしている。半身は未だ諦めて居ないのだ。

貴方「―――拒絶を止めよ、メルトリリス」

柔らかで。それでいて、今までのどの言葉よりも静かな声で半身に語り掛ける。

撥ねる肩、止まる涙。手は静かに下ろされた。拒絶は終わった。

貴方「…私が君の半身であり、互いに足りぬものを補う存在であるのなら、悦んで我が身を差し出す」

貴方「それで君が満たされるのなら、正しくなれるならそれで良し」

貴方「そして届かぬ物を届かせる物を君に授けることを約束しよう」

それは本来ならば軍に渡すと決めたものであり、優勝者に授けられるという万能の願望機。

決して起こし得ない事象をも可能にさせる釜。それをこの少女に渡すと誓った。

貴方「―――我が道がそれこそが正しいと告げているのでな」

【直後メルトリリス感情判定 +3】

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