過去ログ - 【Fate】君達が紡ぐやる夫の物語【安価とコンマで聖杯戦争】 -SS速報VIP

過去ログ - 【Fate】君達が紡ぐやる夫の物語【安価とコンマで聖杯戦争】

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983:1 ◆JwraddSSjo[saga]
2014/08/27(水) 17:49:59.53 ID:0NdPm4jro

式「今、俺が殺したのが何か分かるよな」

色のない式の問いかけに桜も色のない表情で返す。

桜「私を最後に蝕んでいたもの―――小聖杯」

それが意味するのは彼女を縛り付けるものが全て消え去ったということだ。

つまり彼女は自由になったということであり、そしてそれは…。

式「お前が何かと理由を付けて殺戮した人達の責任を、自分で作った罰を背負うってことなんだ」

一糸纏わない姿でただその言葉を真っ青とした顔色で受け入れる桜。

桜「――――う」

首肯も首否もなく、ただその罪の重さの前に彼女は吐いた。

溢れる胃液と涙。死にたいから大切な人が死んだから、私は罪のない人々を殺戮した。

その事実に途方もなくなった彼女はただ吐き続けた。

式「そうだ。それがお前が『自責』の重さだ」

式「この殺戮は誰も立証できない以上、お前の尺度で決めた罪を自分に背負わせなくちゃならない」

桜の胃液が飛び散るのも構わずに、着物が汚れるのも構わずに。式は淡々とそれを告げた。

桜「でも、そんなの無理です。私じゃ耐えきれなくてきっと死んでしまいます…」

息も絶え絶えになりながらも桜は必死に訴える。なら今殺してと…。

だけどその言葉に対する答えも何処までも予想通りで。

式「嫌だね。俺はお前を殺さない。本当に耐えきれなくなったら自分で自分を殺せ」

その言葉に桜は泣いた。さっきの虚無的な涙とは違う涙。

欲しい物を強請る子供のように只管に「死」を懇願するがために零れる雫だ。

式「それに俺はお前を殺せないんだ」

だけど続いての言葉は何処までも予想外で。

式「お前のことを『オカアサン』って呼ぶアサシンがどうしても殺すなって言ってるもんでさ」

式「だから俺はお前を殺さない」

そして今度こそ桜に背を向けてその場から去ろうとする式。

式「―――最後まで、お前の味方だった奴のことを忘れるな。苦しい時は苦しいって言えば良い」

式「そんな当たり前のことが出来ないから、こんなことになったんだ」

式「逆にそんな当たり前のことが出来ればお前は罪を背負えるんだ」

凛と響く声で式はそう告げた。

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