25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/29(金) 22:34:11.42 ID:sUdIOz1/0
始まりは、一人教室でぽつんと席に座っていたある放課後のことだった。
父の死と母の現実逃避が受け止めきれず、友人との会話もほとんどしなくなってしまっていた。
『どうしたの?』
その子は言った。
生徒会で書記をしている――舞という名のクラスメイト。
『……』
私は答えなかった。
舞は眼鏡をかけていた。
それを外して、私にかけた。
『この指何本?』
その問いかけには答えなかった。
答える気力も無く、私はゆっくりと瞬きをした。
眼鏡には度は入っていなかった。
『今、一番欲しいものはなあに?』
『……』
耳をくすぐるような声。
その問いは、私の意に反してイメージを膨らませた。
『……な・あ・に?』
と、彼女は首を傾げた。
常識のある人間ならば、まずおかしいと思うだろう。
私自身、父が亡くなる前ならばこんな団体など毛ほども興味を持たなかったはずだ。
今の私が行っている行為というのは、非常識に逃げ込んでいるだけ。
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