44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/09/03(水) 14:45:56.71 ID:ZhA2i8PA0
壁に押し付けられるようにして、胸ぐらを掴まれて、私は息苦しさを覚えた。
腕力があるのか、振りほどけない。
「梨奈さんからッ……聞きましたよね?」
「だから、全部あんたが仕組んだことなんでしょうが!! この泥棒!!」
「あなたの気持ちもわかりますが、梨奈さんの本心です」
「……ッなんで、あんたが分かるのよ!? 私の気持ちを!! 梨奈のことを!!」
彼女が右手を挙げた。私が左手を挙げる前に、それは振り下ろされた。
パン――と乾いた音。
「ッ……」
痛みは遅れてやってきた。じんじんと熱くなる。
かなり力一杯やってくれたようで、口の端が切れたようだ。鉄の味が口腔に広がった。
私が本当に恋敵ならば、重い一撃だったのだろう。
ただ、私にとってそれはただの肉体的な苦痛なだけだ。
頬を抑えながら、彼女を見る。
「動じてないんだッ……」
それが癪に障ったのだろう。
続けて二発目。左頬に同じ衝撃。
「申し訳ないですが、何発打っても、何も変わりませんよ。私はただの代理ですから……」
「なんで、なんであんたみたいな奴が……!?」
思い込みの激しい人だ。女性は大抵、思い込んだら頑なだけれど。
彼女の気が済むようにするしかないと思った。なにせ、彼女もまた言葉が通じないのだ。
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