29:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2014/08/25(月) 23:31:57.51 ID:HDd5UF4lO
「やめてくれぇ!」
気がついた時にはもう遅く、キョガクの腹は横にかっ切られていた。
反射的に吹き出す血を押さえ、崩れ落ちる体を受け止めていた。
「なんてことを……!」
「アンタが望んでいた事だろう?へへっ、じゃあな」
男を追いかけたかったが、そうもいかない。
俺は急いでポーチから針と糸を取り出した。
そんなとき、ナルト達が目の前に現れた。
「きゃああああ!」
血まみれの俺を見て、サクラが青ざめる。
ナルトとサスケも、その場に固まったまま動かない。
「早く医者を呼んでこい!」
傷を縫合しながら、俺は怒鳴った。
三人はビクッと体を震わせ、すぐに走り去った。
「俺は……死にたくない……!」
涙目になりながらキョガクが掠れた声を出した。
俺は必死に針を動かした。
だが、流れ出る血液が異常なほどに多い。
恐らく毒のせいだろう。
それでも手を動かしながら、キョガクにたずねた。
「あの男は一体誰なんだ」
少し間を置いて、キョガクは答えようとした。
「俺の……」
その声を最後に、キョガクは息を引き取った。
半開きのまま固まった目には、涙のあとが残っている。
助けられなかった。
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