42:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2014/08/25(月) 23:59:04.99 ID:HDd5UF4lO
「いつもだったら、こんな面倒なことには関わらないのだけど」
アナタだから特別よ、と女は言った。
「ありがとな」
「やめてよ、気持ち悪い。
で、何が知りたいの?」
「はやがねキョガクの息子と娘について。
それと『木の葉と丑三つ隠れの虚像』という本についても頼む」
「最近出版された、人身売買についての本だっけね。
アナタはここで待ってて」
そういうと、彼女は床を持ち上げて、現れた階段を下っていった。
どうやら地下に部屋があるらしい。
しばらくして、階段を登る足音が聞こえた。
「待たせたわね。勝手に読んで」
俺は手渡された書類を見た。
真っ先に目についたのは、のはらリンという文字だ。
親戚に養子にとられ、名字が『はやがね』から『のはら』に変わったとあった。
「キョガクがリンの……」
俺は何度も文章をたどって、強引に目を離した。
ここで留まっている訳にはいかないのだ。
リンの父親まで見殺しにしてしまったのだとしても、俺はあの男を追いかけるしかない。
書類を握りしめる俺を無視して、情報屋はタバコに火をつける。
リンについては、それ以上の収穫はなかった。
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