過去ログ - 玄「お母さんの」宥「リドルストーリー」
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◆CVF0ZO0wUo
[saga]
2014/08/26(火) 23:44:19.34 ID:aH7Hxcpfo
乗っているのは私たち二人だけ。
山上の町から麓まではバスも出ているが、私とミチコはこのロープウェイを使うのが好きだった。
乗る前に自販機で買ったコーヒーを飲みながら、夕日に照らされた山々をなんとはなしに眺めていた。
すると、ミチコが不意に口を開いた。
「キヨシくんは元気?」
「え、うん。元気だよ」
突然キヨシくんの名前を出されて、私は驚いた。
ミチコがキヨシくんの名前を出すのは珍しい。
不思議と、ミチコとキヨシくんの話をしたことはあまりない。
「……そう。ならいいんだけど」
「うん……」
会話はそれで終わった。
ロープウェイが町に着く。
「それじゃ、また明日」
ミチコはそう言って、自分の家に帰っていった。
なんとなく立ち止まり、その背を見送る。
少し迷って、私は想い人のところに向かった。
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