過去ログ - 玄「お母さんの」宥「リドルストーリー」
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56: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/27(水) 00:25:45.48 ID:JKYWmZW+o

 今のやり取りにしても、晴ちゃんのことだから、若い子は難しいとでも考えているに違いない。

 憧れていることは、わかってくれていると思う。

 けど、この恋愛感情に限りなく近い、しかし恋ではない不思議な思慕にまでは、気づいてくれないのだろう。

 きっとこのまま、時間は過ぎていく。

 私にもいずれ、露子さんのように、この気持ちに見切りをつけるときが来るのかもしれない。

 晴ちゃんがプロになり阿知賀を去るときがそうなのか、私が卒業するときなのか、いつになるかははわからない。

 でも、それまでは――

灼「晴ちゃん」

晴絵「ん?」

灼「ケーキが食べたい。晴ちゃんと」

晴絵「……うん。ふふ。それじゃあ、どっかカフェに行こう。あ、他のみんなには内緒だぞ。特に憧あたりには」

灼「わかってる」

 ――それまでは、私は晴ちゃんの傍にいたい。

 今だけは、このふわふわした気持ちを大切にしたい。

 いずれ私にも、「岐路」に立ち、「選択」をして、選ばなかった選択肢に「哀切」の念を抱くときが来るのだろう。

 そういうことが、私にも段々とわかってきた。

 でも、それでいい。

 それまでは、このままでいい。

 車のエンジンがかかる。

 ハンドルを握る晴ちゃんを横目に見る。

 せめて今だけは、この束の間の逢引を楽しんでおくことにして、私はシートに背中を預けた。


   槓 




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