過去ログ - 【安価】ほとんど安価でss
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45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/08/27(水) 02:18:07.48 ID:smL+Ivsno
 車道の上で立ち往生している子供を見つけたのは、妹が自分の家のカレーの匂いをかぎ分けられるほどまで帰ってきたときのことであった。

妹「どんな嗅覚だよ!」

 よく見るとその子供は近所の共働きの家の子で、妹もよく頼まれてその子の面倒をみたりしていた。少年のほうも知った顔を見つけ、妹に向かって手を振った。

妹「こんな遅くにどうしたの?」

 妹は歩道から口に手を添えて叫んだ。

妹「そんなところにいたら車が来てあぶな───

 声がピタリと止んだ。表情が刹那にして固まる。何かに気付いた。
 妹の視線の先には少年に高速で迫る黒いベンツがあった。

妹「避けt───

 声にならない声を絞り出した。しかし少年は自分に猛進する黒い鉄の塊に恐怖し、身動きがとれなくなっていた。妹の眼窩に腰を据えた絶望の闇がベンツの発するハイビームを吸収した。

妹「っ!!」

 気が付いた時には体が動いていた。ガードレールの夜を飛び越え、無心で少年のもとへ突進する。

 そして、衝突。衝突は二回あった。妹が少年を両の手で突き飛ばし、黒のベンツが妹をはね飛ばした。
 妹の頭は揺れた。脳が震盪し、目の前が暗くなってゆく。ぶつかる寸前に響いたブレーキ音とクラクションが妹の頭のなかに鮮紅をもたらした。



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