115: ◆7SHIicilOU[saga]
2015/02/27(金) 22:34:34.04 ID:bfWRFpgTo
>>100
―――
「で、私の所に来たわけね」
鉄製の玄関に寄りかかり、
腕を組みながら憮然とした態度でにこっちはそう言った。
機嫌が悪そうというか、これは失敗したんちゃうかな? と不安になってまう。
「はい」
けど花陽ちゃんは動じる事も無く、
いつになく真剣に正面から「教えてください」と強く迫る。
カッコえぇなぁと言う思いもあるけど、逆効果なんちゃうかなとも思う。
「無理」
どっちに転ぶんかなと思う間もなく、
にべにも無く袖にするにこっち。
「なんで、って……聞くまでもないわよね」
その態度にショックを受けた花陽ちゃんの代わりに
えりちがずいと前にでて苦笑を浮かべる。
「えぇ。……確かに私は穂乃果から相談を受けて、あんた達の質問の答えも持っているわ。
こうこうこういう事があって、だから今二人はこうなのよって答えるのは容易いけど、
そんなのできる訳無いじゃない。言える訳ないじゃない」
深く目を瞑りながら、静かに呟くにこっちに。
誰も、なにもいえなくて。ただ、にこっちが独り言の様に言葉を紡いでいく。
「あんた達が心配するのも当然よ。私も相談を受けた身として、
もう少し最後まで面倒みるべきだったし、申し訳ないとも思ってる。でも、それとこれは別」
にこっちの指先は白くなるほど強く握られていて、
それがにこっちの本心であり、同時に本意でないことも理解できた。
多分、うちだけやない。みんなが、わかった事やと思う。
「だから、今は帰って。もう一回私も話してみるから。
全部終わったら、きっと二人からみんなにも話すと思うし、ね」
言い切ってため息を吐いて。
そしてみんなの顔を見渡す。
普段μ'sのみんなに弄られている小さな姿はそこになくて、
年長者として、部長として、先輩として、三人の妹を持つしっかり者の姉としての
頼れる矢澤にこの姿があって。……誰も、もうなにも言えへんかった。
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